金属の加工技術:イリジウム

イリジウムルツボの製造・高純度化のフロー

イリジウムルツボの製造・高純度化のフロー

フルヤ金属において特筆すべき加工技術は、鉱山で産出されたイリジウムパウダーを溶解・加工し製品化する技術とリサイクルを中心とした高純度化技術を保有し、2つの技術を一体化し、高純度かつ精密な製品を製造する技術にあります。この2つの技術を持つメーカーは世界でも2、3社であり、日本では唯一となります。

溶解技術

溶解技術

溶解技術

鉱山から産出され、日本へ輸入されたイリジウムのパウダーはフルヤ金属にて溶解されイリジウムのインゴットになります。フルヤ金属の特徴的な溶解技術は、溶解工程において実施するプラズマ溶解です。プラズマ溶解炉の特徴として、超高温のプラズマ(5000℃以上)を用いることで、イリジウム中の余計な不純物を蒸発させ取り除くことができます。フルヤ金属では、ダブルメルティング法と呼ばれる溶解方法で高純度のイリジウムのインゴットを製作しています。また、近年ではEB(エレクトロンビーム)溶解炉を導入し、さらに高温かつ高純度化が可能な溶解手法も導入しました。

加工技術

加工技術

イリジウムは、耐蝕性・耐熱性・高温での強度において他の金属にない、非常に有用な特徴をもっていますが、その特徴は逆に堅くて脆いという弱点でもあります。そのため、加工性は非常に悪く、加工には特殊な技術が求められます。まず冷間の加工はほぼ不可能であり、全工程において熱間(1000℃以上)で加工します。

鍛造・圧延工程においては、厳密な温度管理のもと、決まったサイズの板へ加工します。その後切削など各種加工を経て部品を製作し、溶接技術にて目的の製品に仕上げていきます。

溶接については、自動化技術を取り入れながらも、基本は職人による手溶接を行います。鉄の融点より1000℃も高い融点をもっているため、イリジウムの溶接加工は特殊な技術を必要とし、熟練工の腕に依るところが大きいのです。また、イリジウムの融点は2400℃を超えるため、一般の金属(アルミ660℃・鉄1540℃など)とは違い、溶解はプラズマ溶解炉等の特殊な溶解設備が必要です。同様に、高融点であるため溶接加工が非常に難しく、その加工にも熟練が求められます。フルヤ金属では、イリジウムの溶接加工を10年以上経験した熟練工が多数おり、高品質の溶接加工は他社との差別化ポイントとなっています。

リサイクル・高純度化技術

リサイクル・高純度化技術

フルヤ金属では、日本国内でもいち早くイリジウムの完全リサイクルのシステムを確立しました。フルヤ金属におけるリサイクル工程は同時に、イリジウムの高純度化を達成するためにも必須であり、特に電気・電子産業などの高純度の素材が必要とされる産業においては必須の技術要素と言えます。不純物はイリジウムルツボの製造工程や、イリジウムルツボの品質に大きく影響してしまうからです。ルツボの製造過程では、クラックが発生しやすくなり、イリジウムルツボの歩留まりが悪くなる他、ルツボの寿命にも大きく影響します。また、不純物は最終製品にも影響を与えるため、(結晶に溶出し、着色等が発生する)最大限抑える必要があります。

一般に原料となるイリジウムについては、南アフリカの鉱山から調達しています。一般的なイリジウムのパウダーは総じて不純物が多く含まれ、一部材料はそのまま使用することができません。原料のイリジウムパウダーについて分析を行い、ルツボ向けに利用できるかを検討し、純度が99.95%を超えないものは、精製(リサイクル)ラインへ投入され、高純度化を実施しています。

この高純度化ラインでは、卑金属や、他のPGM(Ru・Pt・Pd・Rhなど)を定量的に低減することができます。これは他には例のない技術です。不純物の量を10分の1にまで低減することで、高品質なイリジウムの製品を提供することができます。

フルヤ金属のイリジウム製品

ご紹介してきた3つの技術を複合的にあわせ持つことで、イリジウムルツボの他、様々なイリジウム製品を提供することが可能となっています。特殊な製品としては、イリジウムの0.1tの極薄板や、イリジウムのφ0.4線材を用いたスパークプラグ用のイリジウムピンなどがあります。

フルヤ金属のイリジウム製品
Irルツボ
フルヤ金属のイリジウム製品
スパークプラグ用Ir合金チップ
フルヤ金属のイリジウム製品
スパークプラグ
フルヤ金属のイリジウム製品
IrRh熱電対