社長メッセージ

5ヵ年中期経営計画をスタート。 持続的成長の基盤を築き上げ、非連続な飛躍を実現していきます。

代表取締役社長 古屋 堯民

2025年6月期(第57期)は、売上高の過去最高を更新しながらも市況変化を受け減益となったものの、積極投資を継続しています。

2025年6月期の連結業績は、売上高が期初の計画を上回り、過去最高を更新する573億79百万円(前期比20.7%増)を確保したものの、収益力強化に向けて重視する経常利益は93億89百万円(同12.2%減)、経常利益率は16.4%(同6.1ポイント低下)にとどまりました。
この1年の経営環境は、情報通信や半導体、エレクトロニクスなどデジタル関連市場において、特に下期以降、米国の関税方針をめぐる動きや貿易摩擦の影響を受け、装置メーカーをはじめとする当社のお客様にも設備投資計画の変更などが見られる状況となりました。また貴金属市況はルテニウムの価格が需要増加を受けて上昇しましたが、イリジウムについては各国の自然エネルギー政策のトーンダウンなどを背景に水素需要が大きく変化したため、価格が低下しました。
そうした中で当社事業は、ファインケミカル・リサイクルセグメントが苛性ソーダの製造などに用いられる電極用触媒の受注を大きく伸ばし、化学プラント向け化合物の受注も回復したことから、連結業績を牽引する増収・増益を遂げました。また薄膜セグメントは、データセンター投資の活況が続く中、HD向けスパッタリングターゲットの受注が計画以上となり業績を押し上げました。
しかし電子セグメントは、医療用シンチレーター向けや光ケーブル通信用アイソレーター向けルツボが受注を伸ばしながらも、スマートフォン用SAWデバイス向けイリジウムルツボの受注回復が遅れ減収・減益となりました。サーマルセグメントにおいても、半導体メーカー・製造装置メーカーの投資抑制や在庫調整が続き、受注回復が進まず低調となりました。
一方、設備投資については将来の成長に向けた積極方針を変更せず、新千歳工場と基幹システム開発を中心に前期の2.3倍となる約49億円を投じ、研究開発費および減価償却費も高水準を継続しました。

5ヵ年中期経営計画を策定し、長期視点に立った計画のもと、将来の成長に向けた研究開発にしっかり取り組む方針です。

当社は、2025年6月期から2027年6月期までを期間とした従前の3ヵ年中期経営計画を見直し、新たに2030年6月期に向けた5ヵ年中期経営計画「KFKビジョン2030」を2026年6月期より始動しました。
この計画再策定は、前述の米国の関税方針をめぐる動きなど当社を取り巻く事業環境の不確実性が急速に高まっている状況を受け、短期の業績変動に左右されることなく、長期視点に立った計画のもと将来の成長に向けた研究開発にしっかり取り組み、着実に成果を創出する必要性を認識したことによるものです。
「KFKビジョン2030」は、今後5年間の基本戦略として「稼ぐ力の強化」「新たな柱の創出」「持続可能な成長基盤づくり」の3つを掲げました。「稼ぐ力の強化」は、不確実な環境においても確実に基礎収益を稼ぎ出す基盤を築くべく、社内の一体感を高めてより的確にお客様のニーズに応え「創って、造って、売る」の高速回転を実現していきます。「新たな柱の創出」は、これまで進めてきた5本柱(電子・サーマル・薄膜・リサイクル・ファインケミカル)の強化を継続しつつ、さらなる成長分野の追求と新たな柱の構築を推進します。そして「持続可能な成長基盤づくり」として、サステナブルで高い適応力を備えた組織を実現していく方針です。
5年後の計画最終年度(2030年6月期)の業績目標は「売上高1,500億円」「経常利益200億円」と、極めて高い数値を設定していますが、「稼ぐ力の強化」と「新たな柱の創出」の取り組みを着実に遂行し、達成を目指します。特に2026年に予定している新千歳工場の稼働開始や事業展開の強化により、センサー関連分野を中心とする高付加価値化を推し進め、成長力と収益力の拡大につなげていく考えです。

デジタル社会のさらなる進展とグリーン社会の実現に貢献し、豊かな未来を切り拓きます。

「KFKビジョン2030」は、株主・投資家の皆様に当社株式を長期的にご保有いただき当社事業への継続的なご支援を賜るべく、私たちの将来に向けた取り組みをしっかりお伝えしご理解をより深めてもらいたいという想いを込め、発表したものです。
私たちフルヤ金属には、デジタル社会のさらなる進展とグリーン社会の実現に貢献し、豊かな未来を切り拓いていくポテンシャルがあります。「KFKビジョン2030」を通じて、持続的成長の基盤を築き上げ、非連続な飛躍を実現することで、そのポテンシャルを最大限に顕在化させ、企業価値・社会価値を高めてまいります。

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