お知らせ

2016年03月01日

新強化型熱電対「R-SP」を2016年4月から本格販売開始

株式会社フルヤ金属が特許(※1)を取得した、従来のR型熱電対に比べて約2倍のクリープ強度を持つ長寿命熱電対

株式会社フルヤ金属(本社:東京都豊島区、代表取締役:古屋 堯民)は、半導体製造装置に主に使用される熱電対の改良に成功し、従来よりも強度を高めた新強化型熱電対「R-SP」の試験販売を2015年12月に開始し、2016年4月より本格販売いたします。

新強化型熱電対「R-SP」は、半導体の製造プロセスで温度管理を行う際に1000℃以上の高温領域を測ることができるR型の熱電対で、ばらつきや劣化が少ない白金ロジウム合金と白金を組み合わせています。白金素線を Pt 純度5N以上とし、従来の製法からプラズマ焼結法による元材製造に変え、素線単体のクリープ寿命を従来品の10倍、クリープ強度(※2)を約2倍に引き上げることに成功しました。素材の変形を抑えて強度が増したことで長寿命化を実現し、また、純度の高い白金素材を使用することで、安定した温度測定を可能にしました。

■ 熱電対開発における課題

熱電対は、2種類の金属線をつなぎ合わせて電気回路にしたもので、主に半導体製造装置に使用されています。接合部分と根元の温度勾配(※3)により電圧(熱起電力)が発生する現象を利用して、電圧の大きさから温度を割り出す温度センサーです。R型熱電対として使用される金属線は一般的に細いため、高温域で荷重が掛かり続けると断線を起こします。また、使用中の昇降温により伸び縮みを繰り返すことで変形し、絶縁管等の周辺部材との摩擦が負荷となり断線を起こします。そのため製品開発における課題は、断線をできるだけ防ぎ、金属線の長寿命化を図ることです。またもう一つの課題として、温度の安定性が挙げられます。熱電対は不純物が入ると熱起電力に敏感に反応し、温度が狂う現象が起こるため、安定した測温精度を保つためには不純物(添加物)を入れない純粋な素材である必要があります。

■ 従来品に比べ強度が2倍、温度の安定性が「クラス1」を実現した「R-SP」

今回開発したR型新熱電対「R-SP」は、クリープ強度が従来品の2倍であることに加えて、国際電気標準会議(IEC)の規格で最も精度の高い「クラス1」を実現しました。これは、半導体製造に求められる温度測定の精度の高さです。
今後は、半導体製造装置への使用に留まらず、工業用で 1000℃以上の高温熱処理プロセスを要する他分野への進出拡大も強化し、熱電対の温度センサー市場において、4年後となる2020年までに35%のシェアを目指す重要製品として本製品を展開していきます。

【参考】試験結果

※1 特許について:フルヤ金属は、2015 年 5 月 20 日に R-SP のマイナス線に関する特許を取得。
※2 クリープ強度:クリープとは一定の温度下で一定の大きさの応力が作用するとき、時間と共に材料に変形が起こる現象。
※3 温度勾配:温度勾配とは、任意の 2 地点間における温度の変化率と変化量のこと

株式会社フルヤ金属 会社概要

フルヤ金属はプラチナ(Pt)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)などのプラチナグループメタル(PGM)に属する希少価値の高い貴金属を原料とする工業用貴金属製品を製造しています。これらの貴金属は加工が極めて難しいため、世界でもPGMに特化した工業用貴金属メーカーの数は限られています。PGM を中心とする工業用貴金属は、耐熱性、化学的安定性、良導電性などの優れた特性から、エレクトロニクスや光学ガラス、クリーンエネルギー、環境、医療など各分野の発展を支える重要な使命を受けた素材といえます。当社は、貴金属の中でも特に優れた性質を有する PGM に特化し、ルツボ(耐熱性容器)、薄膜素材、熱電対(測温計)などの工業用貴金属製品を製造販売しております。

本社:東京都豊島区南大塚 2-37-5 MSB-21 南大塚ビル
代表:代表取締役 古屋 堯民
創業:1951年3月 設立:1968年8月22日
資本金:5,445百万円 上場取引所:JASDAQ スタンダード(証券コード:7826)
従業員数:291名(2015年6月末日現在)
売上高:21,564百万円(2016年6月末日現在)
事業内容:プラチナ・イリジウムなどの工業用貴金属各種製品、測温センサーの製造・販売。
電子材料、半導体関連製品の販売。薄膜部品の製造・販売。
HP アドレス: http://www.furuyametals.co.jp/

本件に関するお問い合わせ先

株式会社フルヤ金属 製品営業部
篠田謙次、加藤大和
TEL. 03-5977-3377  FAX.03-5977-3381
E-mail. shinoda@furuyametals.co.jp 、 kato@furuyametals.co.jp

ニュース一覧に戻る

トップに戻る