お知らせ

2017年04月03日

有害物質を0℃からの低温で分解除去できる画期的な触媒『FT-eco 触媒』の量産技術を確立 2017年4月から量産体制の構築を発表

アレルギー、悪臭の原因物質の除去、青果物の鮮度保持など、多種多様なニーズに対応 抗菌や排ガス浄化などの分野へも応用を検討

株式会社フルヤ金属(本社:東京都豊島区、代表取締役:古屋 堯民)は、人体に有害なアレルギーや悪臭の原因となる揮発性有機化合物(VOC)(※1)、植物の腐敗を早めるエチレンの除去用として需要が高まっている低温活性(※2)触媒(以下、FT-eco 触媒)(※3)の量産技術を確立し、2017年4月から量産体制を構築することを発表します。


FT-eco 触媒は、ナノメートルサイズの微小な細孔(※4)構造を有した特殊なセラミックス担体(※5)に、プラチナなどの貴金属をナノ粒子で担持(※6)させた触媒(一般的には担持触媒と呼ばれる)であり、担持後には水素還元処理が必要です。セラミックス担体への貴金属の担持および担持後の水素還元処理には高度な技術を要するため、量産技術の確立は困難でしたが、フルヤ金属の高純度ルテニウムパウダー製造で培った貴金属化合物加工技術と、水素還元技術のノウハウを応用した研究開発
により、この度、量産技術の確立を実現しました。

一般的な担持触媒を用いて VOC、エチレンを効率的に分解除去する場合には、200℃以上の高温雰囲気下(※7)で反応させる必要がありますが、FT-eco 触媒は0℃から30℃の室温レベルで効率的に除去することが可能です。(本触媒は、低温活性を特徴としていますが、高温雰囲気下で使用することも可能です。)また、室温で機能を発揮するということは、高温雰囲気にするための機械装置が不要になるため、装置代などのイニシャルコストや、電気代などのランニングコストが不要になり、コスト削減や省スペース化が可能です。

FT-eco 触媒の最大の特徴は、担体に担持する金属種を変える、もしくは異種金属同士を組み合わせる合金化などで、機能の異なる触媒が生み出せる点です。現在は、プラチナを筆頭に、イリジウム、ルテニウム、銀など、フルヤ金属が得意とする貴金属材料を用いた新規用途開拓の研究開発に取り組んでおります。現状のターゲット市場である空気清浄、青果物・花木の鮮度保持に加え、抗菌、排ガス浄化、化学品合成、センサー電極触媒など、さらなる用途拡大を目指していきます。 
なお、本触媒は 2017年4月5日(水)から 4月7日(金)まで、東京ビッグサイトで開催される「第4回高機能金属展」のフルヤ金属のブースにて、サンプルを展示する予定です。

〈FT-eco触媒〉 左:粉末タイプ 右:ペレットタイプ

FT-eco 触媒の最大の特徴は、担体に担持する金属種を変える、もしくは異種金属同士を組み合わせる合金化などで、機能の異なる触媒が生み出せる点です。現在は、プラチナを筆頭に、イリジウム、ルテニウム、銀など、フルヤ金属が得意とする貴金属材料を用いた新規用途開拓の研究開発に取り組んでおります。現状のターゲット市場である空気清浄、青果物・花木の鮮度保持に加え、抗菌、排ガス浄化、化学品合成、センサー電極触媒など、さらなる用途拡大を目指していきます。
なお、本触媒は 2017年4月5日(水)から 4月7日(金)まで、東京ビッグサイトで開催される「第4回高機能金属展」のフルヤ金属のブースにて、サンプルを展示する予定です。

■ FT-eco 触媒の特徴(低温活性)を活かした具体的用途

一般的な担持触媒は高温で作用しますが、FT-eco 触媒は低温または室温での触媒反応が可能です。そのため、今まで活用が困難であった冷蔵環境下での鮮度保持用触媒など、多岐にわたる応用が可能です。従来、青果物の鮮度保持が必要とされる冷蔵庫、保管倉庫、輸送コンテナでは、青果物の腐敗を早めるエチレンを除去するために、吸着剤や光触媒が採用されていましたが、吸着剤は定期的な交換が必要である点や、光触媒は光源を必要とするため、機器を設置するための大きなスペースが必要であり、余分な消費電力がかかる点などが課題でした。FT-eco 触媒は、空間内に設置するだけで高い触媒効果を発揮する上、ほとんど交換の必要がないためコスト削減や省エネルギーが可能です。

■ 更なる用途拡大を目指した研究開発

フルヤ金属は、プラチナ以外の貴金属を用いた新たな触媒機能の開発と同時に、より多様な用途で使用できるように触媒コーティング技術にも取り組んでいます。FT-eco 触媒の形態は、「粉末タイプ」と粉末を焼き固めた「ペレットタイプ」の2種類がありますが、粉末タイプの FT-eco 触媒を溶液に分散し、塗料のようにコーティングする技術開発を行っております。
この技術が実現すれば、段ボール、梱包フィルムなどの梱包資材への塗付による青果物運搬・保存の際の鮮度保持や、空気清浄機、エアコンのフィルタ、住宅の壁紙などへの塗付による揮発性有機化合物の除去、排ガス触媒フィルタへの塗布によるエンジン始動直後の排ガス浄化など幅広い分野への応用拡大が期待できます。

【参考】
※1 大気中で気体状となる有機化合物の総称。ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン、キシレン、酢酸エチルなど様々な観点で人間に悪影響をもたらす揮発性の化合物を指す。
※2 化学反応が促進しやすい状態にすること。
※3 「F:フルヤの、T:低温で働く、eco:環境にやさしい」触媒を指す。
※4 多孔質や多孔質材料が持つ微細な空孔のこと。
※5 それ自身は触媒作用をもたず、他の物質を固定する土台となる物質。アルミナ、シリカ、ジルコニアなどのセラミックスがよく用いられる。
※6 担体に金属などの物質を付着させること。
※7 ある特定の気体やそれを主とした混合気体の状態、またはその気体の条件下にある状態を指す。

株式会社フルヤ金属 会社概要

フルヤ金属はプラチナ(Pt)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)などのプラチナグループメタル(PGM)に属する希少価値の高い貴金属を原料とする工業用貴金属製品を製造しています。これらの貴金属は加工が極めて難しいため、世界でもPGMに特化した工業用貴金属メーカーの数は限られています。PGMを中心とする工業用貴金属は、耐熱性、化学的安定性、良導電性などの優れた特性から、エレクトロニクスや光学ガラス、クリーンエネルギー、環境、医療など各分野の発展を支える重要な使命を受けた素材といえます。当社は、貴金属の中でも特に優れた性質を有するPGMに特化し、ルツボ(耐熱性容器)、薄膜素材、熱電対(測温計)などの工業用貴金属製品を製造販売しております。

本社    東京都豊島区南大塚 2-37-5 MSB-21 南大塚ビル
代表    代表取締役 古屋 堯民
創業    1951年3月
設立    1968年8月22日
資本金   5,445百万円
上場取引所 JASDAQ スタンダード(証券コード:7826)
従業員数  291 名(2015年6月末日現在)
売上高   21,564 百万円(2016年6月末日現在)
事業内容  プラチナ・イリジウムなどの工業用貴金属各種製品、測温センサーの製造・販売。電子材料、半導体関連製品の販売。薄膜部品の製造・販売。
HP URL  http://www.furuyametals.co.jp/

本件に関するお問い合わせ先

株式会社フルヤ金属
ケミカル研究開発部 企画開発グループ:石丸武 、池上立
TEL. 03-5977-3388 FAX. 03-5977-3371
E-mail. ishimaru@furuyametals.co.jp ikegami@furuyametals.co.jp

ニュース一覧に戻る

トップに戻る