ルテニウム加工技術

ルテニウムは、優れた耐食性や触媒特性を持つ金属であり、HDD(Hard Disc Drive)や半導体向けの電子材料を始め、耐食性コーティングや触媒用途など、様々な産業分野で使用されています。一方で、高硬度、高融点、高脆性という特性を持っている為、加工が非常に困難な金属としても知られています。フルヤ金属は、この加工困難な金属を独自の技術で、高精度な加工・精製を循環させるリサイクル技術を確立しています。

フルヤ金属のルテニウム製品

当社の加工・精製技術を複合的に活用することで、高品質なルテニウムスパッタリングターゲット(ルテニウムターゲット)、ルテニウム化合物などの製品を提供することが可能となっています。

ルテニウムターゲットは、主にHDD(Hard Disc Drive)の記録層の一つの材料として記憶容量増加の基礎材料に使用され、次世代の半導体やメモリの主要原料としても期待されています。当社では、純金属および合金のルテニウムターゲットを取り扱っており、大径のターゲットや、独自の溶解・精製技術によって含有不純物を極限まで低減した純度99.999%(5N)の高純度なルテニウムターゲットの製造にも成功しています。焼結技術と溶解技術を駆使し、用途やご要望に合わせて柔軟に対応し常に高品質の製品を提供することが当社の強みです。

また、触媒や電極などに用いられる高純度かつ高品質なルテニウム化合物も扱っています。ルテニウム化合物においては、メタル量で年間約30トンの製造キャパシティを保有しています。 加えて、当社の高純度化技術を活かし、不純物を極限まで抑えて粒径を均一化した純度99.999%(5N)の高純度ルテニウムパウダーも扱っています。

焼結ルテニウムターゲット
φ444mm, 4N
溶解ルテニウムターゲット
ルテニウムマーブル
塩化ルテニウム

ルテニウムターゲットの加工技術

ルテニウムは非常に加工が難しい金属である為、当社でのターゲットの製造は主に放電プラズマ焼結(SPS)法を用いています。これにより、高純度ルテニウム粉末の特性を損なうことなく、ニアネット成型によるバルク成形を実現しています。当社は国内最大級のSPS装置を複数保有しており、高速焼結技術を駆使することで高効率に製造することを可能にしています。
 SPS装置では、ルテニウムの他にもさまざまな金属・複合材料を高効率に製造することが可能です。単一の金属粉末のみならず、合金粉末、[高融点金属]-[低融点金属]の複合粉末、さらには[金属]-[セラミックス]の異材混合粉末まで、幅広い材料組成に対応可能です。

放電プラズマ焼結機

一体型スパッタリングターゲット

ルテニウムは非常に硬く脆い材料ですが、多様な加工技術を用いてバッキングプレートレスの一体型ターゲットを作製しています。

焼結スパッタリングターゲット(鏡面仕上げ)

初期パーティクル低減とプレスパッタ時間短縮を目的として、特殊な研磨方法を用いた表面粗さRa<0.1μmを有するターゲットを実現しました。

溶解スパッタリングターゲット(エッジ部R加工)

端面アーキング対策として、製品エッジ部分にR加工を施しました。製品加工時に欠けや脱落が発生しない様、加工方法/条件を最適化しました。

超高分散材料

当社独自の粉末複合化技術を用いて、超高分散粉末を製造しています。SPSを用いた高速焼結により、粒成長を抑え高分散状態を維持したバルクを製造可能です。

ルテニウム-他金属、ルテニウム-セラミックスでの高分散焼結組織

リサイクル・高純度化技術

当社では、世界に先駆けルテニウムの完全リサイクルシステムを確立しました。ルテニウムの原料は南アフリカの鉱山から採掘されますが、それらは総じて不純物が多く含まれ、用途によってはそのまま使用することができません。こうした原料は、当社で保有する各種分析装置で分析され、用途に応じて独自のリサイクルシステムで高純度化されます。各種使用済み製品などもこのシステムを用いることで、高純度なルテニウムに生まれ変わります。このラインは、卑金属や他のPGMを定量的に低減し、高品質のルテニウム製品を安定的、継続的に提供することができます。

ルテニウムを用いる製品の中でも、特にストレージ産業、半導体産業などの不純物が含まれることで大きく性能が低下する原因となる製品において、ルテニウムを高純度化する当社のリサイクルシステムは必須の技術要素になっています。

また、スパッタリング装置内で使用するディスポーザブルシールドや廃触媒といったルテニウムの含有量が少ないものからのルテニウムの回収・精製も可能にしており、希少性のあるルテニウムの資源循環に貢献しています。

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